chapter2:具体的な配置
ここでは配置のセオリー、ロングノート、ダブルプレイについて扱います。

基本的に守りたいセオリー

◆キー音には目立つ音

なにを叩いているか分かる事が演奏感につながります。
場合によってはキー音用に音を目立たせる例もあり。(キー音用オブジェ)

◆右にいくほど高い音を

大体の鍵盤楽器がそうなので、それに習う形が一般的です。
これを無視すると音階無視といわれ一般的な評価は低いです。

◆同じ音は同じレーンに

視覚的にも何を叩いているか捉えやすいことが演奏感につながります。
例:バスドラの1鍵盤4分打ち

◆出来るだけ叩きやすい配置を

たたきやすさがそのままノリの良さにつながります。

◆5鍵盤の隣接配置の制限

ハーフ表示では、白鍵と青鍵が重なり見づらいので基本的には使わないほうが無難です。

◆スクラッチには特徴のある音を

スクラッチは通常の鍵盤とは見た目も操作も違います。
曲中でも特に特徴的な音を割り当てるといいです。

◆#TOTALを適切な値に設定する

ゲージの上昇率を設定する大切な値です。
また、未設定だとプレイヤーによって値が変化してしまうので必ず設定しましょう。

◆譜面のキャラ立て

譜面を見ただけで何の曲か分かる、そんな譜面はカッコイイです。

◆譜面の攻略性

押しやすさや演奏感だけが良譜面にあらず。
クリアしたいという気持ちを煽るような譜面は楽しいです。

◆キーボードの同時押し制限

3つ以上の同時押しはキーボードによりきかない可能性があるので"なるべく"避けたほうがよいです。
さらに、黒鍵盤と白鍵盤が混在する同時押し特に隣接配置はきかない確率が跳ね上がります。
(キーボードに依存するためあまり親切な配置ではないです)

配置のポイント(一例)

実際にオブジェを並べる際、ある程度のポイントを押さえることでスムーズな流れや意図した演出を作ることが出来ます。

◆音階の継ぎ目

主にメロディラインを配置する場合、7音を越える幅の音階はどこかで折り返しが必要になります。多くはリズム的にも4分8分が自然です。
音階無視は御法度ですが、一定の法則が保てる場合はこの限りではありません。(次項参照)

humen01humen02

◆上昇メロパターン

以下のサンプルは同音同軸を破りますが、一定の法則を保つことにより整合性を保っています。例えば私Johnnyの場合、(一部の例外を除いて)7鍵に近いほど、また白鍵より黒鍵の方が高い音が出る認識でオブジェを置いています。一方で、「1357」のような並列配置より「1234」のような順配置の方が鋭い(高い)イメージがあります。これらを併用すれば限られたレーンの中でも多少の変化が付けられます。

kaidan01kaidan02

kaidan03kaidan07kaidan06kaidan05kaidan04

◆複合パターン(反復による例外)

下図はBOF2006の自作差分zip「SunnyShinyRing -LN- / みここ & 虹野ひかり」の一部です。
本来は大きく幅のある音階ですが、共通した流れをパーツごとに組み上げ、規則的に配置しました。

reigai01reigai02

◆隣接配置の利用

基本的に叩き辛く、見た目も悪いため避けたい隣接配置ですが、「指の動きを固める」という目的で適度に使えば譜面の印象を引き締めることが出来ます。多くは曲の節目に使うのが良いでしょう。ただし叩き辛さは残るので、さじ加減に注意を。

◆同時押しの概念

増えれば増えるほど何を弾いているのか分からなくなる同時押し。律儀に同音同軸を守った場合、微妙な隣接配置が生まれます。よって同時押しはそれらのオブジェを一つのブロックとみなし、次のブロックとの関連性を考えながら配置すると良いでしょう。

douzi01douzi02

◆同音同時押しについて

定義一つでの同音同時押しは、キータッチのズレが演奏に支障をきたすため避けましょう。同期のBGMにオブジェがなく、どうしても同時押しにしたい場合は無音オブジェも考えますが、あくまでイレギュラーな技法のため使用には注意が必要です。

douon01douon02

ダブルプレイ

◆譜面密度と左右のバランス

片側に集中した譜面は利き腕に難易度を大きく左右されるので余りオススメできない。
が、しつこい片手弾きが楽しさにつながる場合もあるので一概にはそうとは言えない。

◆運指と難易度

使わなければならない指の数が多い配置ほど難しい。どの指を使うべきか戸惑わせるような配置は難しい。
低難度譜面を作る際には、運指の選択肢の幅も意識する必要がある。専用コントローラーとキーボードでは運指の自由度がまったく違うため、「叩きやすい配置」は環境によって異なってくる。そもそもDPの同時押しはキーボードが反応しないことも多い。無反応を考慮するなら、同時押しは2個までが無難な範囲。

◆ロングノート(LN)と難易度

ダブル譜面のLNは運指の融通がきかない為、シングルLNより格段に難しい。また、LNを押しながらの他オブジェ処理は常に同時押し扱いになるため、キーボードによっては極端にクリアしづらくなるおそれもある。
基本的にLNがあるだけで☆1以上アップ。

◆左右のパート入れ替え

DPでは左右の入れ替えが良く使われる手法。左右の難易度調整、単調さの回避に使用するが、
安易な入れ替えは演奏感を損なう恐れアリ。

◆パン振りオブジェと配置

DPでパンと配置を対応させると演奏感がグッと上がります。というより、パンと配置が逆になってしまうと少なからぬ違和感があります。あえてそうする場合、違和感が気にならなくなるような工夫があるとよいですね。
たとえば、パンを無視しても左右交互に叩けたほうが気持ちいい場合とか、パンを無視することが譜面演出上の何かのかっこよさにつながる場合とか。
参考までに、本家5鍵は筐体側で勝手にパン振られます。

◆バトルミラーの是非

左右対称配置:左右の手で同じ指を同時に動かすというアクションの爽快感。
左右並列配置:一筋縄でいかない運指、いかにもダブルプレイっぽい楽しさ。
いずれも視覚的なインパクトがあり、片手弾きと同時押しの快感を一度に得られるので、ここぞという場面で使うと演奏テンションを一気に引き上げることができます。
注意点は、多用しすぎると譜面の個性が薄れる事、左右のキー音がそれぞれ立っていないと演奏感が薄れる事、演出優先で音階を崩しすぎると場合によっては快感より違和感が強まる事。

◆階段系オブジェの散らせ方

同時押しと同じように、階段の配置にも難易度が存在する。
キーボードでは同色の階段が取りやすく、専用コントローラーでは複色階段がとりやすい。

◆両手をまたぐ分割は単一パートのときのみ

1P側キック、2P側メロの譜面で、2P側に収まりきれないオブジェを1Pがはみ出す場合など。
混合フレーズ感が損なわれるのでお勧めできない。
例外あり。とくに両手ともリズム隊の場合余り気にしなくてもいい場合も。

◆離れSCと無理SC

スクラッチと鍵盤が離れすぎていて、片手で処理するのが困難な配置。完全に届かない場合はズラして拾うか、どちらかを捨てるしかない。前後の配置の密度や位置関係、手の大きさによっても取りづらさが変わる。
皿位置が"右右"の10鍵盤の場合、2+皿あたりからきつくなる。
皿位置が"左右"の14鍵盤の場合、4+皿あたりからきつくなる。
基本的には避けたほうがいいが、多少の無理が気持ちいい場合も。
離れスクラッチでなくても、鍵盤密度の高い部分に皿を置くのは避けたほうが良いだろう。

◆引越し推奨 / 引越し強制

左右どちらかのみにオブジェを配置し、一時的に両手プレイを誘う配置。
鍵盤だけならわりとなんとかなるので、おもにスクラッチの置き方しだい。
例…"NOFIA""LAUGHIN(A)"(5鍵)"CHECKING YOU OUT"(IIDX)

◆筐体とキーボードの押しやすさの違い

筐体DPとキーボードDPは別のゲームとして捉えたほうが良い。
特にキーボードだと親指がほとんど使えないので同時押しの形によっては取れないものも。

ロングノート

◆ロングノートフォーマットについて(チャンネル / 1P:5x , 2P:6x)

MGQタイプ

最初に生まれたLN定義。やや複雑な書式のため、今ではまず使われません。

RDMタイプ(LNTYPE 1)

BMSEで正式にサポートされている形式。同じ番号のLNオブジェを同軸に置くことで形成できます。
GDACの「裏オブジェ」もこちらに当てはまります。

ln01

▼メリット
・エディター上の見た目が変わるため、イメージしやすい
・LN譜面として比較的メジャーな形式
▼デメリット
・手間がかかる(元オブジェを消し、音をそのつど選び、始端と終端の二箇所を置く)

RDMタイプ#2(#LNOBJ **)

LN終端用に定義一つを消費することで形成できます。以下詳細。

【#LNOBJ xx】
未定義の#WAVチャンネルひとつを「終端オブジェ」として定義します。(画像の例ではFF)
オブジェは一般のそれ同様に配置でき、「終端オブジェ」以下の同軸に向け、
通常オブジェとの最短距離がLNとして認識されます。

ln02

▼メリット
・元オブジェごと編集する#LNTYPE1に比べ、追記するだけなので手軽に作れる
・LNを解除する際、「終端オブジェ」検索による一括削除が可能
・BMSCでも作成可能
▼デメリット
・#WAVチャンネルを一つ消費するため定義の空きが必須
・BMSE上では通常オブジェと見分けがつかない
・UOnazobmplay(rev796)にてLNオブジェに通常オブジェを重ねてミラープレイするとバグが生じる

 

【参考】

LN上で通常オブジェが重なった場合、そこでLNは途切れます。

言い換えれば、始点のみのLNは通常オブジェにぶつからない限り伸び続けます。

RDMタイプ#2(#LNOBJ **)にて、
始点の見つからない「終端オブジェ」は通常オブジェとみなされます。

全くの冒頭であれば「終端オブジェ」~「終端オブジェ」のLNも可能です。

hprhythm-itの書式説明

hpBMS拡張定義解説

 

◆ロングノート譜面における約束事

拡張子の変更

最近の本体は標準でLNに対応し、中には譜面から判別するものもあります。
したがって「bms」と「bme」同様、次第に意義を失いかけていますが未対応の本体を考慮し、
まずは「 ***.bml 」にしておきましょう。

拡張子を変えず、未対応本体に読み込ませた場合…

RDMタイプ(LNTYPE 1)
始端、終端ともにオブジェが消える。
RDMタイプ#2(#LNOBJ **)
終端オブジェも通常オブジェとして認識する。

…といった不具合が生じます。忘れず変えておきましょう。

LN定義の記入

タイプ1の場合は「#LNTYPE 1」を、
タイプ2の場合は「#LNOBJ **」を記しておきます。
前者は拡張子の項に続いて意義が薄れつつありますが、なるべく書いておきましょう。
後者は書かなくては正しく動きません。

音のチョイス

LNは様々な意味で他のオブジェと異なるため、音の選択にも注意が必要です。ただこれについては個々で意見が分かれることも多く、一概に線は引けませんが、 過去の傾向から述べるなら「残響で伸びた音」は不適な場合がほとんどです。個人的にもピアノの余韻、単音ドラムは伸ばして気持ちの良いものではありません。

【参考】hpliberty-穴

末端処理

o2jam等、韓国の音ゲーはLN同士がピッタリくっついている場合がほとんどです。これは終端にも判定があるゲーム性と、キーコンフィグの違いから来るものと考えます。
後者はBMSプレーヤーでも変更できますが、ここではあくまでデフォルト配置を前提に話を進めます。

LNは言うまでもなく指を拘束します。複数では片手の数本、或いは両手の自由を奪います。キーの配置も上下に入り組むため、叩き易さを考えた場合、多少なりとも余裕は欲しい所です。
そこで行うのがこの末端処理になります。

ln03

まずは各LNの末尾を16~32分短くします。LNSC→SCと続く時は余裕も多めに取っておきます。現状ではLN末尾に判定のある本体はないので、LN化とセットで覚えておくと良いでしょう。 なお、16~32分というのは一例で値はBPMによって変わります。本来この調整は曲の構成に反するため、遅い曲は余裕も少な目に…と、音とのギャップを減らしてやるのがポイントです。

しきい値の考慮

一例としてシンセのメロディをLNにするとします。4分・8分のような長い音は当然ですが、合わせて16分・32分といった短い音まで適応させるのは見た目に悪く、プレイ上もメリハリを欠く要因になりかねません。
もっとも伸ばすか否かはケースバイケースですが、その曲にとってどこを伸ばすのが心地良いかを考えながら
作成すれば、全体の完成度も自ずと上がって行くでしょう。

苦痛な配置

LNは見た目の美しさと叩き易さが必ずしも一致しません。特にSCが絡めば出来ることは限られます。それを逆手に取って毒を残すことも可能ですが、それは最後の調整でようやく考えられる問題でしょう。

ln04ln05

複合パートではLNをまたぐ配置が付き物です。隣接も不可避なケースが少なくありませんが出来るだけ減らしておきましょう。特にLNに接した左右のオブジェは、ありがちながらも微妙な配置の好例です。

イメージとの食い違いは初めは多く出るものです。慣れた中でもやはり生まれるものなので、なるべく多くの
テストプレイを重ね、違いを実感するのが近道でしょう。

あまり推奨したくない/扱いが難しい技法

◆歯抜け

複音化すべき場所を複音化しない。
演奏タイミングバッチリだと気になりませんが、ズレると途端に演奏感がボツに。

◆必然性のないダブルバトルミラー配置

音階に大きくウソをついてまでアクションに走る必要はありません。
成功例もあるのでケースバイケース。(例:sasakure.UK氏の譜面全般)

◆必然性のないミラー配置

1番キックがいきなり7番に飛ぶような配置。
前述した同じ音は同じレーンの原則を豪快に破るのでオススメできません。
DPでスクラッチとの片手処理の為に使うことは極稀にアリ。それでも出来れば避けたい。

◆DPでの過度の離れスクラッチ

押しづらい、というかそもそも押せません。特に鍵盤密度の高い場合は気をつけたほうがいいです。
例:"Cheer Train (A)"(IIDX)

知っておくと便利なこと

◆打感は環境に依存する

例えば、パンなんかはヘッドフォンじゃないと余り気にならないとか、ベースはヘッドフォンじゃないと聞き取りにくい場合があるとか、
LQ、HQで打感が変わってしまうものもあり。気になる場合は推奨環境を明記するのも手。

◆0小節目のオブジェ

本体によって挙動が変わる。例えば、Mixwaverは勝手に1小節分フォローが入るが、nazoはフォローがないのでオブジェが拾えない。
低速だったり、4拍以降の場合はあまり気にしなくてもいいかも。

◆nazoでマイナスTOTAL値

ゲージ減る

 

chapter3は波形編集などを紹介します